超音波療法ULTRASONIC THERAPY
超音波療法Ultrasound therapy
超音波療法とは
「超音波」と聞くと、まず体内の様子を画像として見る「診断機器」を思い浮かべる方が多いと思います。
ところが、超音波は診断だけでなく、治療にも使われています。
空気がブルブルと振動すると「音」となりますが、その振動のサイクル(周波数)が早すぎて人間の耳には聴こえない音を「超音波」と呼びます。超音波は光のように直進し、ぶつかる性質があり、通り抜けたり跳ね返ったりします。それを活かして、治療に活用しているのが「超音波治療器」です。
人間の耳に聞こえる音は、20Hz~20,000Hz (20kHz)です。20kHz以上の周波数の音波により機械的振動を起こして治療に用いるのが超音波療法です。実際には0.7〜3MHzの超音波が利用され、1MHzだと、1秒間に100万回の伸び縮みが起こっていることになります。
超音波療法とは、この振動を連続的、または断続的に発生させることを利用した治療法です。
振動と熱の力で治療
身体の深部まで届くマッサージ効果
超音波治療器の特長は、皮膚から数cmもの深いところまで届くこと。周波数の出力のレベルを変化させたり、振動の間隔を変化させることで、さまざまな施術が可能となっています。
効能としては、温熱や振動により血管拡張効果をもたらすことが挙げられます。
たとえば、肩こりは筋肉が収縮し続け、毛細血管を圧迫して血の巡りが悪くなることで、細胞からの老廃物の排出がうまくいかなくなり、疲労物質が筋肉にたまってしまった状態です。
超音波治療器は血管を拡張させるため、肩こりの治療に最適です。
また、神経組織への作用や細胞レベルのミクロマッサージ効果もあるため、捻挫や関節炎による痛みや腫れにも効果があります。
1秒間に数百万回ものミクロマッサージを行うことは人間の手では無理なことで、微細な振動を深さ数cmの深部に与えることができるのは「超音波治療器」ならではのこと。超音波療法は、世界のリハビリテーション分野やスポーツ分野で最も利用されている理学療法です。
「超音波療法」では、特に筋肉・腱・神経の損傷に効果が高いです。
鍼灸治療でのツボを介して、臓腑の調整・気血水の調整・全身の自然治癒力(免疫・代謝分泌・血流)の増進をはかるとともに、特にこり感やしびれ・痛みのある部分に超音波療法を加えることで、早期に回復がもたらされる治療法です。
超音波療法の特徴
- 急性期からの使用ができる
- 深い部分までのアプローチができる
- 温熱効果と非温熱効果がある
適応疾患
- 神経筋および骨格系疾患(関節周囲炎やリウマチ、関節拘縮)
- 筋の病変(筋の損傷や腱の損傷など)
- 神経の病変
- 損傷後の組織再生(褥瘡や創傷部)
禁忌
- ペースメーカーを装着している方
- 妊娠中の方
- 知覚障害を有している方
- 眼球・脳・生殖器への照射
- 悪性腫瘍
- 脊髄疾患
- 成長骨端線
- 人工関節